ソーシャルラーニング.jp

日経BP刊『ソーシャルラーニング入門 - ソーシャルメディアがもたらす人と組織の知識革命』の公式ウェブサイトです。

 

トニー・ビンガム、マーシャ・コナー著
ダニエル・ピンク 推薦

 

山脇智志 @waki3
松村太郎 @taromatsumura 訳・監修

 

書籍のお求めはAmazon.co.jpから

THE BOOK

本書について:ソーシャルラーニング入門 - ソーシャルメディアがもたらす人と組織の知識革命
2012年1月6日に発売されました本書について、
詳しくはこちらから

キャスタリアはビジネスシーンにおけるソーシャルラーニングの可能性を考えるビジネスセミナー「Social Learning Lab.」を定期的に開催していきます。第一回目は2012年4月27日(金)に「ソーシャルラーニングで変革する組織内の学び:巨大企業とベンチャー企業比較」と題して開催しました。その模様を全3回に分けてレポートします。

2回目は、ゲストとしてお招きした日本IBMグローバル・ビジネス・サービスの前川英之様(@maechosta)による、「IBMにおけるソーシャルラーニングの活用事例」と題したプレゼンの内容をレポートします。

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現在は日本IBMのコンサルティング部門で主に人材育成関連のコンサルティングを担当しています。前職は企業向けの研修会社、さらにその前は学校教育向けの出版社に勤めており、教育という軸で繋がっているキャリアを歩んできています。

本日は、まずはIBMのビジネスの変遷についてお話しして、次に私のいるコンサルティングのチームがどのような働き方をしているか、最後にそこでどう人材を育て、その中でソーシャルラーニングをどのように活用しているのか、という流れでお話ししていきます。

■IBMのビジネスの変遷の歴史

IBMという会社は、システム開発だけでなく、レジのPOSシステム開発(つい最近売却が発表されました)、電池の研究開発など、様々な事業を行っています。ちなみに、IBMというのは’International Business Machines’の頭文字をとったものなのですが、その名前から想像されるのとは異なる事業も数多く行っているわけです。どのようにして今の会社になったのか、歴史を遡ってご紹介します。

1984年にアメリカの雑誌に’America’s Most Admired Corporations’の一つとしてIBMが取り上げられ「最も賞賛される企業」と言われていました。ところが10年も経たない1992年には同誌に「絶滅寸前の恐竜」に例えられるまでに業績が落ち込んでしまいます。

なぜこのようになってしまったのか?昔はサーバ1台売るだけで何億というビジネスができていたのが、ダウンサイジングの波がやってきてそれだけでは食べていけなくなったのにも関わらず、ビジネスのやり方を変えることができなかったのです。1991年には創業以来初の赤字に転落しました。

その時に『巨像も踊る』という本でも知られるルイス・ガースナーを外部からIBMのCEOに招聘して会社の立て直しを託し、彼が立て直しに成功しました。

ガースナーが行ったのが、ハードウェア中心のビジネスからサービスビジネスへの転換でした。2004年のパソコン事業のLenovoへの売却が有名ですが、それ以外にも売却を進め、売上に占めるハードウェアの割合は下がっていきました。

IBMが面白い会社だと思うのは、サービスビジネスに転換するために先ほど挙げたPOSや、プリンタ、PCといったビジネスを売る一方で、サーバやCPUなどは残すというように、残すものと残さないものをしっかり判断しているところです。

サービスビジネスへの転換を象徴しているのが、2002年にPwC Consultingを買収し、IBMのコンサルティング部隊を拡充したことです。この年にIBMのCEOはガースナーから生え抜きの方になり、今年またCEOが交代しましたが、サービスビジネスへの注力という流れは続いています。

■コンサルティング部門のワークスタイル

このような形でビジネスが変遷し、今やサービスビジネスがメインのビジネスになっています。サービスビジネスというのはその言葉通り、「お客様の課題を解決する、お客様から要望されたことには何でも応える」というのが仕事です。

私たちが実際どのように働いているのかというと、GBS(グローバル・ビジネス・サービス)のコンサルティング部門という組織に所属していますが、基本的にはお客様向けのプロジェクトにアサインされて働きます。所属組織の上司もプロジェクトのリーダーもしくはメンバーとして働いているので、上司に1ヶ月間会わないこともあります。

期初・期末の面談を含めて上司とは定期的に話す場を持ちますが、基本的にはプロジェクトメンバーと仕事をするという形です。


そのため、オフィスもどんどん小さくなっています。基本的にはデスクはすべてフリーアドレスで、社員の数に対してデスクが1/5程度しかありません。その代わりに拠点は様々なところにあり、フリーアドレスのデスクが用意されているので、そこで仕事をすることができます。あとはお客様先で仕事をしたり、カフェで仕事をしたり、自宅で仕事をしたりしています。

三種の神器、すべて真っ黒なのですが、ThinkPadと、ガラケー、モバイルWi-Fiルータを常に持ち歩いて、どこででも仕事ができるようになっています。

今日は黒いスーツを着ているので、まさに皆さんがイメージするIBM社員という感じでしょうか。

■人材育成とソーシャルラーニングの活用

このような働き方をしているというと、「そんなのでよくやっていけるな」と不思議がられますが、上司とも滅多に会わないでどのように社内でコミュニケーションを取って社員を育成しているのかという話に入っていきます。

IBMは伝統的に人材育成に非常に力を入れています。‘THINK’というのがIBMにおける人材育成の標語になっていて、IBMの研修では、’THINK’と書かれたネームプレートを渡されます。

アメリカのTraining Magazineという雑誌で、一番研修に力を入れている会社として2004,2005年と連続で1位になり、それ以降は殿堂入りしてランキングに載らなくなったというくらい、人材育成に力を入れている会社です。

社員のスキルは大きく3階層で考えています。一番下はコミュニケーションスキルやプレゼンスキルなどの「コアスキル」、その上に職種ごとにその市場で求められる「マーケットスキル」、その上にリーダーに求められる「リーダースキル」があります。

コアスキルは人事主導の研修、リーダースキルも人事主導で、研修や、経験を積ませるためのジョブローテーションが中心です。

マーケットスキルは職種ごとに育成を行っているのですが、コンサルティング部門の場合は集合研修、eLearning、OJTを行い、それだけでカバーできない部分はコミュニケーション、コラボレーション、ナレッジの共有、社内でのネットワーキングなどを通して育成をしています。

 

コラボレーションの仕組みも時間をかけて進化させてきました。

1996年に社内の情報ポータルが生まれ、情報の伝達から始まりました。そこから進化して、さらに社内の各種のシステムをポータルからリンクして使いやすくしたり、2006年頃からはポータルの画面をパーソナライズできるようになり、自分に必要な情報を自分に適した形で並べられるようになりました。そして2010年頃からはWeb 2.0のような形で各社員の参加を促す仕組みが展開されています。

ここに至るまでに、社内でも様々なツールを使ってきましたので、いくつかご紹介します。

まず、「Lotus Notes」をメインで使っています。プロジェクトごとにデータベースを作ってスレッドにファイルを貼ったり、ディスカッションを行います。

また、ナレッジの共有のためのナレッジマネジメントの仕組みとして「Practitioner Portal」というサイトがあり、提案資料やプロジェクトの資料を登録し、共有できるようになっています。例えば、今日のお題である’Social Learning’というキーワードで検索をしたところ2,129件出てきました。一致している度合い(0%~100%)付きで検索結果が表示されるようになっています。

ネットワーキングという面では、「Blue Pages」という社員一人一人の電話帳のようなものも整備されています。どこに勤めていて、どんな仕事をしているか、どんなスキルがあるかということを検索することができます。

また、プロジェクトを開始するに際して、こんなスキルを持った人がいないかなということを登録すると、世界のどこにこんな人がいますという結果を返してくれる仕組みもあります。

社内のコラボレーションとしては、チャットツール「Lotus Sametime」もかなり頻繁に使っています。

以前は、「セカンドライフ」の中でアバターを通して研修を実施するという実験を行っていたこともありました。


そのように色々やっていたのですが、ここ1~2年でかなり方向転換してきたと感じます。

その理由としては、どれだけファイルを共有していても、結局のところ必要な情報の50~70%は人に聞く、人から人に伝わっているものであるということがあります。さらに、社内の情報の80%以上は、どんなにアウトプットを促しても個人の頭やPCの中に蓄積されていて、その人に聞かないと分からない、その人が退職すると失われてしまう、という状況が実際に起こっています。先ほど紹介したナレッジマネジメントの仕組みに資料を登録するように依頼しても、社員1人あたり年間数件程度登録するのがせいぜいです。

一方、ビジネスで求められるものも変わってきました。コンサルティングの現場においてはお客様の要望が多様になり、これまでにない課題に対して全く新しい解決策を生み出さなければならないという状況が増えてきています。

このような状況に貢献できるナレッジ共有・育成の仕組みとはどういうものなのかを検討した結果、「ファイルの管理から人の繋がりの促進」というテーマを掲げて仕組み作りを推進し始めています。

IBM Connectionsというのが現在社内で使い始めているツールで、プロフィール、コミュニティ、ソーシャルブックマーク、ブログ、Wiki、ファイルの共有など、SNSの基本的な機能を一通り持っています。この中で一番重要視しているのが、プロフィールの機能です。ファイルの管理ではなく人の繋がりを広げていくという方針がここにも現れています。

IBM Connectionsにアクセスするとまず自分のポータルが出てきます。Blue Pagesと似ていますが、Blue Pagesはいわゆる人事情報が表示されるものですが、Connectionsでは人事的な情報以外に自分がConnectionsの中で行った様々なアクティビティも表示され、共有されます。他の社員のプロフィールを検索することもでき、例えば、’Social Learning’のキーワードで検索すると185人出てきます。また、’Social Learning’でコミュニティを検索すると64件出てきます。

このように人事情報だけではなく様々なアクティビティを対象にして検索をすることで、各ジャンルの専門家を見つけてコミュニケーションをとることができる、それによってコミュニケーションを活性化し、ナレッジの共有・流通を促し、育成にも繋げていこうとしています。

社内の集合知を活用するものとして、Innovation Jamというイベントも定期的に行われています。社内に巨大な掲示板を立ててそこにみんなで書き込みをしてディスカッションをするというものです。毎回テーマを決めて行うのですが、例えばイノベーションに繋がるようなアイデアを出し合うJamでは、ディスカッションの成果を2006年から「Next 5 in 5 ~次の5年間イノベーションを引き起こす新しい5つのアイデア」として毎年発表しています。2006年のディスカッションでは、72時間掲示板をオープンし、105ヶ国から15万人以上の人が参加し、46,000以上のアイデアが投稿されました。


最後になりますが「ソーシャルラーニングとは何か」ということでまとめてみます。

IBMの、特にコンサルティングのチームにとっては、資産は各社員の持っているナレッジやスキルしかありませんので、それの総和が企業の競争力そのものとなります。その資産をファイルではなく「人と人との繋がり」、つまりコミュニケーションうやコラボレーションによって引き出して、お客様に提供する価値の向上に繋げるということが、IBMの社内におけるソーシャルラーニングの目指す姿であると考えています。

キャスタリアはビジネスシーンにおけるソーシャルラーニングの可能性を考えるビジネスセミナー「Social Learning Lab.」を定期的に開催していきます。第一回目は2012年4月27日(金)に「ソーシャルラーニングで変革する組織内の学び:巨大企業とベンチャー企業比較」と題して開催しました。その模様を全3回に分けてレポートします。

1回目は、当日はスカイプ経由で登壇したキャスタリア取締役、チーフアカデミアの松村太郎(@taromatsumura)によるオープニングトークの内容をレポートします。

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2011年11月に米国カリフォルニア州のバークレーに拠点を移し、5ヶ月ほど現地での生活をしています。その中でシリコンバレーならではなのですが「ローカルニュースが面白い」ということに気付きました。例えば、NHKの地方局と同じノリのテレビ局のローカルニュースでも、Facebookのプライバシーの問題や、Googleの規約改定の問題など、Tech系のニュースが扱われていたりします。Google, Apple, Instagramなど世界を牽引するIT企業が、ここでは地元企業であり、ある意味身近に感じられるのです。それ故、ここに住んでいると、Tech系、Web系のニュースが日常生活にまで潜り込んでいるという印象があります。

■ソーシャルという概念について

まずはソーシャルメディアとは何かという問題についてお話します。

Facebook, Twitter, Google+など一般ユーザーに広く開かれているものから、Yammerのように企業内のコミュニケーションに限られたものまで、一口にソーシャルメディアといってもたくさんの種類のものがあります。日本では、ソーシャルメディアというと最近はFacebookのイメージが強く、『ソーシャルメディア=オープン、シェア』というイメージがあると思いますが、ソーシャルメディアは必ずしも完全にオープンでなければならないもの、というわけではありません。むしろ、企業内、企業間のクローズドなコミュニケーションなどでも社会は存在しますし、それらソーシャルメディアは十分活用出来るものです。コンシューマー寄りのイメージを拡大し、色々な人と繋がり合うことで、ソーシャルメディアがさらに有効に活用されるようになると思います。

では、ソーシャルラーニングとは何なのでしょうか?

一言で言えば、ソーシャルメディアを使って学びを得ようということです。多くの人にとって、今はTwitter, Facebookが一番身近なソーシャルメディアだと思いますので、それを例に考えてみましょう。

多くの人にとってのTwitter, Facebookの使い方というのは、信号待ちの30秒でタイムラインを読んだり、プッシュ通知が来た時に開いたり、PCでブラウザを開いたときにパッとチェックするというように、触れている時間は細切れだと思います。しかし、それが習慣化されることで、触れている総時間は長いものになるのです。

ここで考えるべきことは以下の2つです。

「ソーシャルメディアに触れているその長い時間は無駄な時間なのか?」

「友達とのコミュニケーション以上の何らかの目的に活用出来ないのか?」

キャスタリアでは、2007, 8年頃からこの問題について考えてきました。その結果としてですが、現在キャスタリアの社内コミュニケーションはほとんどFacebookに置き換えています。

■Facebookの活用

例えば近年のトレンドですが、最近『電子メールをなくそう』という動きが少なからず見られます。これまでは多人数のグループでの連絡ツールというとメーリングリストが一般的でしたが、メールというのは余計なものが混ざりやすくコミュニケーションツールとしては「最悪」と言わざるを得ません。Gmailは迷惑メールフィルタが充実していますが、社内メールをGmailで運用しているところはそれほど多くありません。それ故、例えば会社に出勤してもまずは迷惑メールを一掃してからでないと仕事が始められないという事態が多くの会社で見られます。

その一方で、メールと違いFacebookグループだとそのようなノイズが入ってこないこともありますが、なによりも単なるコミュニケーションを超えた「どうやってコラボレーションを巻き起こすか」という課題を解決してくれる点で優れた機能を持っています。

最近ブログに書いた「CastaliaのFacebookグループを愛しきソーシャルラーニングの場に変えた7つのステップ」では実際にキャスタリアで体験し、うまく機能している点について説明しています。

Tarosite: CastaliaのFacebookグループを愛しきソーシャルラーニングの場に変えた7つのステップ

http://www.tarosite.net/sociallearning/castaliafacebook7.html

1.「そのグループで何をするのかという目的を決め、分かりやすいタイトルをつける」

余計なものが入ってくるのを極力排除することが重要です。キャスタリアの場合、『社内情報共有とディスカッション、意思決定のための場』といった目的を設定しています。

2.「必要以上のメンバーを追加しない」

メンバーに入れるかどうかの決定の基準としては、顔合わせをしたことがあるか、プロジェクトに関係があるかなどがあると思います。誰がどんな顔をして発言しているのかが分かる環境づくりが重要です。また余計な人が入ると、情報が漏れる危険性もあります。部署を超えることが出来るというのは一つのメリットかもしれませんが、顔の分からない人が入ってくると、『この発言をこのグループでしてよいか』という疑念がわいて、ディスカッションの妨げになりやすいのです。

3.「発言に対して必ず『いいね』かコメントをする」

発言に対して『いいね』やコメントがつくと、誰がどんな反応をしているかがプッシュ通知でリアルタイムに分かります。書き込んでフィードバックが返ってくるというのは一つの成功体験になり、これがモチベーションとなって、メンバーにとって書き込むインセンティブが高まります。

4.「『何故その情報を共有したか』『読みどころはどこか』など、グループメンバーが消費するためのコンテクストを付けてあげる」

メールの場合だと「情報共有します」と言ってもそれをちゃんと見る人は少ないと思います。Facebookはその点、リンクを貼ったときにサムネイルと概要が表示されるので便利ですが、それにかまけず自分の視点を付加することが重要です。反応が返ってきやすい場を作ることで、コミュニケーションがより円滑に進むようになるのです。

5.「グループの議論のアーカイブにする」

これは、アーカイブや検索の機能が弱いというFacebookグループの特性上、特に重要になってくるステップです。

リアルなミーティングではログをとることが多いですが、Facebookグループのディスカッションでも、当番を決めてアーカイブする人を決めるとよいと思います。おすすめは、SafariやChromeのEvernote Web Clipper機能を利用することです。

6.「グループの議論の出口を用意する」

せっかくの議論を無駄にしてはいけません。例えば、グループの目的が「プロダクトを作るためのグループ」なら、プロダクトとしてのアウトプットを作ることを出口にするとよいでしょう。キャスタリアの場合は、『ディスカッションの中で気になったことをプロダクトやサービスに結びつける』ということを出口にしています。

7.「ルールを作りすぎるとコミュニケーションのテンポが悪くなるので、ユーモアやテンポを大事にコミュニケーションを楽しむ」

仕事ではありますが、キャスタリアのグループはすごく楽しい場です。好きな仕事をしているということもありますが、コミュニケーション自体がテンポが良いのです。それが、他のFacebookページやウォールと違うところだと感じています。

以上、経験に基づいて7つのステップを紹介しましたが、まとめて言うならばあくまでもFacebookグループは「リアルなコミュニケーションのサブ」的な位置づけです。グループを設定するだけでなく、そこに関わる人や目的をディスカッションした上で充実させることが大事だと思います。

ソーシャルラーニングの視点として「一人一人がどう活用すると、ソーシャルラーニングの場が盛り上がるか」というのも重要ですが、最重要なのは管理者が「どのようにソーシャルラーニングの場所を作り、運営・ファシリテートするか』ということをちゃんと最初に考えておくことです。

リソースとして考えなければならないのは「メンバー」「イシュー(事柄)」「ゴール」「アウトプットイメージ(どんな成果物になりそうか?)」の4つです。近年脚光を浴びている『リーンスタートアップ』の文脈にも関わってくるものですが大きなグループよりは最低限のメンバーとイシューによる「小さなグループ」で始めることが成功の秘訣かなと思っています。

ソーシャルラーニングとは「単純にソーシャルメディア界のツールを利用・促進するすべての学び」を指すこともあるが、「『インフォーマルな学び』、そして『知識マネジメント』を指す新たな流行語/教師やトレーナーからだけではない相互に学び合うこと」という意味で用いられることもある。

「ソーシャルラーニング」とは何か、という話題。

『ソーシャルラーニング入門』にもある通り、やはり「インフォーマルな学び」という観点から論じられています。言葉の定義の問題は往々にして厄介ですが、自分なりの意味をしっかり確立して議論したいものですね。

(via What is social learning    Designed For Learning

セミナーのお知らせです。

明治大学国際教育研究所が下記シンポジウムを開催されます。

日本企業の人材採用がより国際的になる中で私たち日本人はその事態にどう対処していくべきなのか?当社も注目しているePortfolioの効用と意義に関して詳細がわかるまたとない機会です。

国際教育プログラムと学習成果分析
「グローバル人材を測る物差しを考える」-Eポートフォリオの有効活用の可能性-
Learning Outcome Assessment for International Education Programs
-Potentials in Effective Use of ePortfolio-

キャスタリアは、提携関係にある信学会と現在あるプロジェクトをすすめており(近日発表予定です)、そのリサーチと情報収集を目的として、2012年4月2日(現地時間)にアメリカ合衆国メイン州オーバーン市を信学会小林理事(@tsuneakiteacher)と訪問しました。

現地の幼稚園の授業の視察およびiPad幼稚園プロジェクト関係者とのミーティングの模様を全2回に分けてレポートします。なお、これらの詳細に関しては5/16(水)-18(金)に開催されるEDIX(第3回教育ITソリューションEXPO)の信学会/キャスタリアのブースで発表する予定です。

今回は第2回目として、実際に幼稚園での利用状況を見て発見したことなどについてです。
なお、第1回目のレポートはこちらからご覧下さい。 

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今回視察に行って驚いたことの一つは、iPadを使って指導を行っている72歳の先生がいるということです。
Sherwood Heights Schoolには、園で30年以上教鞭をとってきた先生がいましたが、iPad導入の取り組みが始まる際に一度辞めてしまったそうです。しかし、取り組みが開始してから主に視覚障害を持つ児童担当の個別指導のチューターとして再び幼稚園に戻って来たということでした。
彼女に話を聞くと、「実は私は自分ではiPadは使っていないけれど、それはiPadを手で持つのが辛いからというだけなの。私の孫はiPadを使いこなしているし、iPadの素晴らしさは理解しているわ。私自身、本を読むときはKindleを使っていて、デジタルデバイスを愛しているの」と語っており、デジタルデバイスに慣れ親しんでいる様子が伺われました。

教室内でのiPadの管理については、様々な工夫が見られました。
まず、iPadのトップ画面及び背景には各児童の顔写真を使い、誰のiPadであるかが一目で分かるようにしています。
iPadカバーは市販の丈夫なものを使用していました。これまで半年の間に壊れたiPadは1台だけで、それも実は児童が壊したものではないそうです。
保管及び充電には手作りのiPadキャビネットを使用し、電池残量が25%を下回ったら充電するように指導することで、数字を覚える練習としても活用するという工夫をしていました。

今回の視察では子どもたちにヒアリングをする時間はありませんでしたが、授業中、子どもたちはiPadを自然に使いこなし、楽しんでいるように見えました。
しかし、大人にとっては彼らがiPadを壊してしまわないか心配でしょう。視察した幼稚園では、iPadの歌を作り、iPadの持ち方や使い方を児童に覚えてもらう、iPadを使用する上での注意を児童の目につきやすいところに貼っておくなど、いくつかの対策をとっていました。
これが、これまで半年間に児童は1台もiPadを壊していないという結果の裏にある秘訣なのだろうと感じました。

iPadを導入するというと、従来の教材がすべてiPadに取って替わられるという状況を想像する人も多いでしょうが、「私たちは、従来の指導方法とデジタルデバイスを使った指導方法を効果的に融合する、Blended Learningを重視しています。指導する内容に見合った適切な教材を使うことが大事なのです」とプロジェクト関係者は語っていました。
実際、教室を見ると先生の手作りの教材もたくさんあり、また児童は自画像を紙に描くなど従来のように紙とペンもよく使っているようでした。

幼稚園の視察の後にはプロジェクト関係者と現場の先生とのミーティングを行い、信学会の幼稚園とオーバーン市の幼稚園の交流の可能性についても議論しました。
信学会の幼稚園とオーバーン市の幼稚園の交流を始めることについて、信学会の小林理事と先方の関係者との間でコンセンサスがとれ、姉妹校締結に向けて双方が動き出すこととなりました。 

今回、私たちキャスタリアと信学会がこれから実現しようとしているものの答えを見つけるために遥々メイン州オーバーン市を訪れましたが、視察を通じ私たちの方向性が間違ったものではないということを改めてその目で確かめることが出来たと感じています。

iPadやiPhoneなど最先端の技術を導入するというと、ただガジェットを導入して終わるだけだの、何でもデジタルにすると人の暖かみがなくなってしまうだのと思われてしまうことは少なくありません。しかし、子どもたちが実際にiPadを使って楽しみながら着実に学びを積み重ねる様子を目の当たりにして、この最先端の教育スタイルが秘めている大きな可能性を確信しました。

教室の中には手作りの教材が多くあったので、どれくらいの頻度で教材を手作りするのか訊ねたところ、「よく作っています。最良の先生は、生徒の意欲をより引き出すために多くの創造性を使うものだと思います。たとえ教材を買うとしても、先生は自腹を切ることもあります。それは必要条件ではありませんが、彼らはそれだけ児童のことを気にかけていて、彼らに高い意欲を持って欲しいのです」と語っていました。

その言葉にこの幼稚園の現場の先生方のプロ意識の高さを垣間見ると同時に、この幼稚園での高いレベルの指導を支えている本質は、iPadなどのデバイスではなく、人なのだと実感しました。勿論、最先端のデバイスは指導効果を高める一助になりますが、それはデバイスを適切に指導に取り入れる方法を知る先生がいる前提があってこそなのです。まさに、「教育は人なり」だと感じます。

世界最先端の教育の先には、人々がデジタルデバイスを活用することを通じて失われていた人間性を取り戻し、自分の実現したい世界を作り上げていく未来が見えました。

Posted by Atsushi Inutsuka, Castalia Co. Ltd.

こうした仕組みを導入する際にありがちな、「不適切な発言をする人が出たら」「情報統制が効かなくなったら」といった批判への対応法も盛り込まれている。「自分の会社ではどう使えるか」と刺激を受ける。

日経情報ストラテジー2012年4月号で、小林暢子さんに『ソーシャルラーニング入門』をご紹介頂きました。

(via 「ソーシャルラーニング」入門 - 新刊・近刊:ITpro

学びの多くは人のつながりを通して生まれてきます。友人や仕事仲間を介することで、学びがさらに広がります。ソーシャルラーニングのような、人の一生の学びをサポートするITの仕組みは、これからさらに注目を浴びると思います。

日経ビジネスオンラインでキャスタリア株式会社取締役・クリエイティブディレクターの景山泰考(@yahman)がインタビューに答えています。ソーシャルラーニング一般の動向についてヤーマン節炸裂で語られており、たいへん面白い内容です。ぜひご一読ください。

(via オフィシャルな場では人生全体の1割しか学べない:日経ビジネスオンライン

キャスタリアは、提携関係にある信学会と現在あるプロジェクトをすすめており(近日発表予定です)、そのリサーチと情報収集を目的として、2012年4月2日(現地時間)にアメリカ合衆国メイン州オーバーン市を信学会小林理事(@tsuneakiteacher)と訪問しました。

現地の幼稚園の授業の視察およびiPad幼稚園プロジェクト関係者とのミーティングの模様を全2回に分けてレポートします。なお、これらの詳細に関しては5/16(水)-18(金)に開催されるEDIX(第3回教育ITソリューションEXPO)の信学会/キャスタリアのブースで発表する予定です。

今回は第1回目として、オーバーン市の幼稚園で導入に至る経緯などに関してです。

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アメリカ合衆国メイン州オーバーン市は、市内の公立学校の幼稚園クラスで児童に一人一台iPadを配布し、教室での学習にデジタルデバイスを利用するiPad幼稚園プロジェクトを実施しています。

参照記事(メイン州の新聞メディアSun Journalが同プロジェクトの第一段階の結果を報じたニュース): http://www.sunjournal.com/news/city/2012/02/16/auburn-report-ipads-help-kindergartners-learn/1155484

iPadを幼稚園に導入するという取り組みはアメリカ合衆国内を始めいくつかの事例が見つかりましたが、全員に一人一台導入し、かつ効果測定まできちんと実施し、結果を発表している事例はここオーバーン市しかありませんでした。そこで、今回視察に訪れる地としてオーバーン市を選びました。

今回は、まず午前中にFairview Schoolで先方のプロジェクト関係者と顔合わせをし、幼稚園クラスの授業を視察しました。その後、先方のプロジェクト関係者とのランチを挟んで、午後にSherwood Heights Schoolに移動。同じく幼稚園クラスの授業を視察し、視察の後で学校の会議室で現場の先生も交えてミーティングを行うというスケジュールでした。

Fairview Schoolの校舎 Sherwood Heights Schoolの校舎

視察の受け入れ状況について訊ねると、「今年はかなりの数の視察が来ています。多くはメイン州から来ていて、周辺の州からも何件かありました。海外からは、今のところオーストラリア、スウェーデン、デンマークから1件ずつです」と語っていました。アジアからは初めての視察だったということです。

オーバーン市は、アメリカ合衆国の最東北部に位置するメイン州の都市で、人口は州内で5番目に多い23,055人。メイン州の位置(赤色の部分)

同市の特徴として白人の比率が95%超と非常に大きいことがあげられます。また、メイン州自体も白人の比率が95%を超えており、アメリカ合衆国内で最も白人の比率が大きい州であることから、”Most White State”とも呼ばれます。(Wikipedia調べ)

実際に、メイン州最大の都市ポートランドに到着してからオーバーンでの視察を終えてポートランドを出発するまで、ほとんど有色人種を見ることはありませんでした。

アメリカの公立学校では、幼稚園が小学校と併設されていることが多く、今回視察したFairview School及びSherwood Heights Schoolも、小学校の中に幼稚園のクラスが入っているという形でした。

日本の場合、幼稚園は年少、年中、年長と分かれていますが、アメリカで幼稚園という場合は5歳児および6歳児向けのクラスを指し、それ以下の子どもはPre-Kindergarten(Pre-K)というクラスに入ることになります。

今回視察したクラスは、すべて幼稚園、すなわち5歳児および6歳児向けのクラスでした。

幼稚園の児童に一人一台iPadを導入する取り組みは、オーバーン市のプロジェクトとして同市の教育委員会(Auburn School Department)により2011年4月から行われています。iPad購入の予算については「2011/2012年分は、市と州の助成金を使いました。今年度も、助成金をもらう道を模索しつつ、同時に市の通常予算に組み込みたいとも考えています」と語っていました。

オーバーン市の公立学校には幼稚園クラスが全部で16あり、2011年9月に8クラス129人の児童に、同年12月に残りの8クラス137人の児童にiPad 2を配布しました。上の学年でなく幼稚園から始めた理由について担当者に訊ねると、「昨年、どの学年から実証実験を行うか議論しました。この分野については多くの研究がなされているわけではありませんが、私たちが見つけた研究は『小さければ小さいほど、子どもの学習に与えるインパクトが大きい』と示していたのです」と語っていました。

iPadを使って先生が指導を行う様子

「iPadを使うことについて動揺する保護者もいました。おそらく彼らはただガジェットを買うだけになってしまうのではないかと心配したのでしょう」と語っていたように、保護者をいかにしてプロジェクトに巻き込むかは重要な問題となる点です。

プロジェクト開始前の先生のデジタルリテラシーは、先生によって差があったそうですが、まずは先生にiPadを使ってもらい、操作に慣れてもらうことを重視すると同時に、iPadを利用している他の先生の授業風景を見るなど、先生同士で学び合うことを推奨したということです。(第2回はこちら)

Posted by Atsushi Inutsuka, Castalia Co. Ltd.

2012年3月6日に、アメリカの教育省が「アメリカにいるマイノリティの生徒はきちんとした高校カリキュラムを習うことが出来ていない場合が多く、かつ低賃金で経験の少ない先生から教わっていることが多い」という内容のデータを発表しています。

http://www.ed.gov/news/press-releases/new-data-us-department-education-highlights-educational-inequities-around-teache

key findingsとしてあげられている内容は、以下の通りです。

1. アフリカ系アメリカ人の生徒は、特に男子生徒の場合、停学や退学する生徒が多い。黒人の生徒は、Civil Rights Data Collection(CRDC)のサンプルの生徒の18%しか占めていないにもかかわらず、黒人生徒の35%は一度停学の経験があり、39%は退学している。

2. 外国語として英語を学んでいる生徒はCRDCのサンプルの高校の生徒の6%しか占めていないが、留年している生徒の12%を占める。

3. マイノリティの生徒の割合が高い高校では、その内の29%しか微積分を教えず、黒人やヒスパニックの割合が低い学校の55%という数字と比べると非常に低い。

4. マイノリティの生徒の割合が高い学校の教師は、同じ地区のマイノリティの生徒の割合が低い学校で教える教師よりも年間$2,251も給料が少ない。

「マイノリティの家庭はお金がなく、子どもがよい学校へ進学出来ない
→マイノリティの生徒が進学するような学校にはよい教師がいない
→結果としてドロップアウトするなど、よい大学へ進学出来ない
→マイノリティの生涯賃金が、よい大学を卒業した人と比べて少なくなる
→彼らの次の世代の子どももよい教育が受けられない」

という悪循環に陥っているように見受けられます。

この話は何もアメリカに限ったことではなく、人種という問題が絡んでいないだけで、日本でも存在することだと思います。

先日、Teach for AmericaのWendy Kopp氏の来日を記念して学生向けに開催されていた講演会に参加したのですが、その時にTeach for Japanの松田悠介氏がこのようなことを仰っていました。

「親の年収と子どもの学力テストの成績には相関関係が見られる。
さらに、偏差値の高い高校と低い高校では大学進学率ではまったく異なる。
最終学歴がすべてではないが、それが生涯賃金に与える影響は大きい。
今の日本では、このような事象から負の連鎖が起こり、155万人の子供が資金面で教育を受けるのに支援を必要としているような状態になっている。
子どもを取り巻く環境には地域、学校、家庭の3つがあるが、貧しい家庭の子どもの場合、この3つのすべてが崩壊している場合も少なくない」

モバイル&ソーシャルラーニングは、このような課題に対する解決策をも提供出来る可能性を秘めていると確信しています。

Posted by Atsushi Inutsuka, Castalia Co. Ltd.

mashable.comに掲載されていた記事によれば、Intelが途上国の学校での利用を想定したタブレットを出してきました。これまでもIntelブランドで展開していたPCのラインを受け継ぐものとし配布されていくようです。スペックは7インチスクリーン、1060 x 600ピクセル、Windows7かAndroid 3のどちらかを入れられるようです。

先のインドの3500円タブレットは噂と予約は先行しましたが、未だに市場には現れていないと聞きます。中国製の安価なタブレットやスマートフォンがアフリカではすでに販売されたいたり、すでにネットワークでの講義配信などが限定的にせよ、またインフラが脆弱な中においても確実に彼の地の「学び」を変えつつあるというのは希望に満ちあふれる話だと思います。